2009年01月25日

『 UMAMI 』

 お正月料理の味付けはいかがだったでしょうか?お雑煮の味付けでもめたご家庭はなかったでしょうか?

 ご存じのように、味付けの基となる味覚の基本要素には甘み、塩味、酸味、苦みがあります。それぞれ甘みは糖分を主体にしたエネルギー要素を、塩味はミネラルの要素を、酸味は未熟な果物、腐敗食物などを、苦みは毒物などを舌で感知して、食物が体内に入る入口で、体に必要なもの、危険なものを感じ取れるようになっているわけです。そして、近年では、この4つの味覚に加えて、料理のうまさを直接的に表現する「うまみ」が加わっております。

 この「うまみ」については、1908年、日本の池田菊苗博士が、昆布でだしをとると料理がうまくなることに着目し、昆布だしの中からうまみ成分の抽出を試み、グルタミン酸として分離したことに始まります。かつてどの家庭にもあった、味の素がそれであります。その後、かつお節からイノシン酸(小玉新太郎、1913)、椎茸からグラニル酸(国中明、1957)が抽出されるなど、日本での研究が突出していたため、「うまみ」は日本人にしか感じられないものとされていたこともあったようです。しかし、現在では世界中で、たんぱく質に対する味覚として広く認識されるようになり、うまい言葉がないためUMAMIとして表現されることが多いようです。

 これらの「うまみ」成分ですが、アミノ酸系であるグルタミン酸などと、核酸の一種であるイノシン酸などに分かれております。これらを一緒に使うと、うまみを増すことが経験的に分かっておりましたが、その機序は謎のままでした。この現象は「うまみの相乗効果」とも呼ばれており、最近、アメリカの研究グループがその機序を明らかにしましたので、紹介したいと思います。

 舌にある「うまみ」の受容体は二枚貝のような葉を閉じて虫を捕らえる食虫植物の「ハエトリグサ」の形をしているのだそうです。そして、グルタミン酸は「ハエトリグサ」が開く際のちょうつがいの部分に、イノシン酸は先端の開閉部にそれぞれ結合するのだそうです。イノシン酸によってこの受容体が閉じてしまうと、グルタミン酸はその中にとどまってしまう。このことによって「うまみ」が増大する、すなわち「うまみの相乗効果」が生じるのだそうです。

 食事の時の「うまい」「まずい」といったことが、生体内での実に巧妙な分子レベルの反応によって成り立っていることに驚かされます。
posted by 佐藤哲朗院長 at 12:13| 日記